トリートメントを握れば2倍浸透する| プロが教えるトリートメント術

トリートメントを握れば2倍浸透する

トリートメントの浸透については、これまでに何度もお話してきました。
「3倍変わるシャンプー・トリートメントの方法」でもかなり詳しく説明しているので、7日間スーパートリートメントプログラムを卒業した方はすでに深く理解していることと思います。

この内容だけでも初級から中級までの内容を十分にマスターできますが、実はもっともっとトリートメントを浸透させる方法があるんです。
上級のテクニックになりますが、この方法ならトリートメントを髪の内部に浸透させるだけでなく入れ込んだトリートメントを髪の内部にキープさせて閉じ込めることができます。
今回はこのテクニックをお話しますが、そもそもなぜトリートメントを使うのにこんなにたくさんの技術が必要なのでしょう?
それはトリートメントが髪に浸透しにくいからです。
トリートメントは使い方を間違えればどんなに優良品であっても髪に浸透することなくただ排水溝に流れていくのです。
こんなにもトリートメントが浸透しにくい理由は3つあります。
1つ目は髪の「フィルター機能」。
トリートメントを浸透させるのが、あなたのお肌ならこんなに多くのテクニックを必要としません。
あなたの肌は良い成分を取り込んで、悪い成分は取り入れないようにするフィルター機能が働いていますから、肌が必要とする成分は自動的に判断して吸収しているのです。
ところが髪にはこのようなフィルター機能がないので成分がいいからといって髪の内部に吸収してくれないのです。
だから外部からトリートメントを入れ込んであげなくてはいけません。
髪に浸透しにくい2つ目の理由は「トリートメントが水分を嫌う」からです。
トリートメントはシャンプーの後に使いますが、シャンプー後の髪はビチャビチャになっていますよね。
髪にお湯がついているとトリートメントは水分が邪魔になって髪の内部に浸透できないのです。
つまり、トリートメントを髪に浸透させるには髪の水分ができるだけ少ない方がいい事になります。
最後の3つ目は「キューティクルの隙間」。
トリートメントが髪の内部に浸透するにはキューティクルの隙間から浸透していくのが一番効果的です。
ところがキューティクルの隙間はとっても狭い。
ただでさえキューティクルは肉眼で見えない程小さいのに、そんな小さなキューティクルの中でもさらに小さな隙間から浸透しなくてはいけない訳です。
これもトリートメントが浸透しにくい大きな理由となっています。
以上の3つが髪にトリートメントが浸透しにくい理由。
この中でも1と2番目は比較的解決が簡単です。
専用のターバンを使ったトリートメントのつけ置き、3Dコームを使って広げる、しっかりしたすすぎで髪の温度を高めておく。。。
などなど「効果が3倍変わるシャンプー・トリートメントの方法」で簡単に解決できます。
もしこの方法を知らなかったとしても、トリートメント前に髪の水分をできるだけ少なくしてあげたり、トリートメントの浸透時間を作ってあれば十分な対策となるのです。
しかし問題は3番目のキューティクルの隙間が狭い事。
この小さな溝からトリートメントを浸透させると浸透力がアップするのですが、これはプロでも難しい技術が必要になります。
そのためディープケアではサロン向けのスーパートリートメントプログラムで「逆入れ」(さかいれ)という技術を教えています。
これはトリートメントを毛先から根元に向かって入れ込んでいく技術。
つまり普通と反対方向からトリートメントを入れ込んでいく方法です。
分かりやすくお話しましょう。
キューティクルを拡大すると次のイメージのように一方を向いています。
だからトリートメントを上から下に向かって広げていくのですが、これをあえて下から上に向かって入れ込んでいくんです。
こうすることでキューティクルの溝にもしっかりトリートメントがつまって浸透力が高まります。
ただし、この逆入れがプロでもできない技術である理由は、あまりに微妙な手の力加減が必要だから。
髪が濡れている状態は一番キューティクルが壊れやすくなっていますが、「逆入れ」はこの状態で反対から髪に入れ込んでいくことになります。
この状態でほんの少しでも力を入れ過ぎると簡単にキューティクルを壊してしまうし、反対に力が入っていないとトリートメントは浸透しません。
しかも、キューティクルは個人差が大きいのでダメージの状態に合わせて力を調整しなくてはいけない。
ですから、このテクニックは素人が絶対にマネしてはいけないテクニックなのです。
あまりに難しいので「効果が3倍変わるシャンプートリートメントの方法」内でも一切触れないようにしており、プロ向けのセミナーでも伝える人を選ぶようにしているぐらいです。
大切なのでもう一度繰り返し伝えておきます。
絶対にこの方法はマネしないでくださいね。
念を押すほどやってはいけないテクニックですが、今回はなぜあなたにお話したのでしょうか?
今回のタイトル「2倍浸透」はまっかな嘘だったのか?
いえいえ。
嘘ではありません。
実はあるんですよ。
もっと簡単で、これに近いトリートメントの浸透ができてしまうテクニックが。
確かに「逆入れ」ほどの効果はありませんが、しっかりとキューティクルの隙間にトリートメントを入れ込むことができます。
その方法がタイトル通り「握る」トリートメントのテクニックです。
こちらは逆入れと違ってとっても簡単。
トリートメントを髪全体に広げたらある程度髪をまとめて「ひと束」としてギュッと握るんです。
こうすることで髪には横からの力が加わってキューティクルの隙間にトリートメントが押し込まれるようになります。
具体的に「ひと束」とは小指ぐらいの太さにするのが理想で、これより大きいと浸透の効率が悪くなります。
たったこれだけでできてしまう簡単な方法ですが、効率よく浸透させるために次の3つのポイントを覚えておいてください。
1つ目のポイントは握る前の前提として髪全体にトリートメントがしっかり広がっている事です。
トリートメントが付いていない部分をいくら握ってもキューティクルの隙間には行き渡りませんのでしっかり広げた後に握ってください。
2つ目はあまりに強く握り過ぎない事。
ここは男性の場合に注意することですが、少しでもたくさんのトリートメントを浸透させようとして強く握り過ぎるとキューティクルが壊れることがあります。
ただし、女性の場合は握力が強くないのでそんなに気を付ける必要がありません。
力を入れずに軽く握る感じで十分浸透すると覚えておいてください。
3つ目のポイントは握るのは毛先だけにすること。
そもそも髪の「根元」部分はダメージが少ないので、「毛先」のようなダメージの大きな部分と違ってトリートメントをしっかり入れる必要がありません。
さらに根元のキューティクルはしっかり整っているのでトリートメントを握ったとしても隙間から入りにくい。
だから、トリートメントを握って入れ込むのは毛先だけで十分なのです。
今回のようにキューティクルの話は髪を傷める可能性があるので、かなり詳しく、そして具体的に話しておきました。
実際にこのトリートメント法をおこなうときは気を付けて髪を触るようにしてください。
もしも間違った方法でトリートメントを入れ込むとダメージとなってしまいますが、正しく握ることができた後にトリートメントの付け置きをおこなうと素晴らしい髪質感を実感できます。
さらに、ヘアターバンで水分を減らして浸透させておけばヘアモデルの輝きに変身です。
ここまでの上級テクニックは毎日でなく、週に1度の集中ケアで十分ですので時間がある時に気がつけば実践してください。
そんなに時間もかからないので気軽にできるヘアケアテクニックです。
今回のテクニックでワンランク上の髪美人を目指してくださいね。