「良質のトリートメントを使えば髪はキレイになる。」 私は、そう勘違いしていました。
でも実際には、どれだけ丁寧にトリートメントしても、たった10秒の間違ったドライヤーで全てが無駄になってしまいます。 ドライヤーは、ライターとしても使えるぐらい高熱を作りだす家電。 よほど気をつけて使わないと髪も一瞬にしてチリチリに焦げてしまいます。こうなってしまった髪は、どんなにトリートメントしてもキレイになりません。 だから、美しい髪にはトリートメントよりも先に正しいドライヤー選びが重要になるのです。
これは女性だけの話ではありません。 女性なら髪が多いので「ダメージ」となりますが、一方で、髪の短い男性にとって負担となるのが頭皮です。 男性は髪のダメージが少ないのですが、薄毛対策に育毛剤より大切なのがドライヤー選びとなるのです。 ドライヤー選びとはそれだけ大切なヘアケアツールといえます。
ところが、あなたが大型家電屋のドライヤー売り場にいくと、 「○○イオン」「速乾」「大風量」「1200W」「ヘアケア」「サラサラ」・・・ 似たような文字がズラッと並んでいます。
「結局、何が違うの?」 と思ってみても、定員さんに聞いて押し売りモードになるのも嫌なので自力で見回ります。 ですが、やっぱり、どれも同じようにしか見えません。 デザインと価格以外の違いが分からなくなったあなたは、次のように考えるようになります。
「ドライヤーって高出力で風が強いほどいい商品で、イオンがついてると髪がサラサラになる訳ね。 あまり使わないけど風が調整できれば何かと便利かな。 あとは価格とデザインね・・・」
実際のところ、あなたのドライヤー選びの基準ってこんな感じじゃないですか?
私自信も同じように「ドライヤーは髪を乾かすもの」だと考えていたのでよーくわかります。 私はこれまで1万人以上の髪質診断をおこなってきましたが、その中でドライヤー選びの重要性にいち早く気が付きました。 それから国内はもちろん、世界中のドライヤーを使い倒すことにしました。 海外のドライヤーは電圧が違うため、実際に行ってみないと使えないから大変な作業です。
数えきれないほどのドライヤーを使って、一番わかりやすかったのはプロ用のドライヤーを使用すべきではないということ。 いわゆる「プロ用」「サロン仕様」というドライヤーです。 よく目にしますが、これって一般用と何が違うのでしょうか?
一番の違いは高出力であること。 美容室ではとにかくお客さんが回転しなくてはいけません。 ドライヤーで優しく10分も20分もかけて乾かしていては、次のお客さんを待たせることになります。 そのため、強い風と高熱で一気に乾かす訳です。 これだけの高出力ドライヤーを使ってもヤケドしないのは、プロのドライヤーテクニックがあるからできること。 プロは、どうすればヤケドせずに乾かせるかを熟知しています。
でも、一般の方がプロ用を使うと一瞬にして髪がチリチリになってしまうのです。 まず第一にやってはいけないドライヤー選びはこれです。 プロ仕様はプロ用であって、あなたが使う一般用ではありませんから、どんなに気をつけて使ってもヤケドの原因となってしまいます。
「髪のヤケド」といっても、目に見えないからピンときませんよね? 髪がヤケドすると、あなたの髪にいったい何が起こるのでしょうか?
まず、あなたがドライヤーで髪をヤケドするとプラスチックのような不自然なツヤがでて、ウィッグに近い質感になってきます。 ヘアカラーは安っぽい色になり、毛先が広がって、スタイリングしにくい髪に。 せっかくスタイリングしても夕方までスタイリングは持続しません。
残念なことに、これだけダメージになってもあなたはヤケドに気が付きません。 髪に「痛み」という感覚がないからです。 痛くもかゆくもないから、ダメージをほったらかしにしてしまいます。
もしもこれがお肌だったら? あなたが熱湯をこぼして手をヤケドしたら、痛みがあるのですぐに手を氷で冷やし場合によっては病院に行くでしょう。 クリームや包帯など至れり尽くせりのケアをした後、さらに体が持っている自己治癒力がヤケドを治してくれるのです。
ところが、髪は熱さを感じることができないからヤケドにすら気づいてもらえません。 髪はヤケドしたまま、翌日も同じ高熱を当てられてしまいます。 自己治癒力を持たない髪には外部からのケアが必要ですが、ヤケドに気づいてもらえないため念入りなケアもおこなわれない。 こうして髪のヤケドは知らない間に進んでいき、髪質の変化に気づくころにはかなり重症になってしまっているのです。
こうしてヤケドを繰り返していくと、髪は固くなってきます。
目玉焼きを作る時、フライパンに卵を落とすと固まっていきますよね。 これを「タンパク質の熱変性」といいますが、髪も卵と同じタンパク質でできているので、熱によってまったく別の性質に変わってしまうんです。 温度が下がっても目玉焼きは生卵に戻ることはありません。
よく、自分の髪質を「クセ毛」と勘違いする方もいらっしゃいますが、その原因が髪ヤケドによる熱変性にあるという場合も多いのです。
「じゃあヤケドしない温度って何度なの?」
これは個人差があります。 健康な髪を保つには70度が限界だといわれていますが、くせ毛の方やダメージをすでに持っている方は、60度程度の温度にしか耐えることができません。 60度といわれてもピンとこないかもしれませんが、最近のドライヤーは100度以上の風を出していますから髪は簡単にヤケドしてしまうのです。
「ということは、温度が低いドライヤーならいいのね。」
いえいえ。 そうではありません。 単に温度が低いと、今度は髪が乾くのに時間がかかるようになってしまいます。 例えば、あなたが旅行用でコンパクトな省電力ドライヤーを使ったとしましょう。 確かに温度が低いのですが、髪がなかなか乾かないから長い時間ドライヤーしなくてはいけません。 こうなると、今度はヤケドしないけど髪の摩擦ダメージが大きくなっていくんです。 何よりも腕も疲れるし、時間がかかってイライラしてきます。 つまり、髪を乾かすには熱すぎず低すぎない「ギリギリ温度」が大切ということ。 ここがドライヤー選びで一番大切なポイントなので繰り返します。
ドライヤーはヤケドしないギリギリの温度である物を選んでください。
また、髪を乾かす上で多い間違いは、温度が高い方が早く乾くという考えです。 確かにその方が早そうですが、決してそうではありません。 熱い風を使うと無意識でドライヤーを大きく振りながら使うようになります。 これでは風が逃げていくのでロスが大きくなり、結果的に乾くの遅くなってしまうんです。
ヤケドしないギリギリの温度はロスが少ないから結果的に一番早く乾きます。
「じゃあ60度ぐらいのドライヤーを選べばいいのね。」
確かにそうなんですが、温度というのはそう簡単ではありません。 あなたの生活で思い出してください。
■90度のサウナは我慢できるけど、50度のお風呂はがまんできない。 お風呂の倍近い温度があるサウナはなぜ我慢できるんでしょう?
■40度の部屋は暑いけど、そこに扇風機があれば快適になる。 室温は同じなのになぜ快適になるんでしょう?
このように、温度っていろんな「要素」が関係するから難しい。 とにかく複雑だから、もしもあなたが60度のドライヤーを買ったとしても髪がヤケドしてしまうんです。 これが広告のマジック。 ひっかかってしまう前にここを理解してください。
温度のマジックを理解するのに一番わかりやすいのが「距離」です。 ドライヤーは、吹き出し口から離れるほど温度は下がりますよね。
例えば、凍らせてガチガチに固くなったバニラアイスを食べるとしましょう。 甘いものが大好きだから一刻も早く食べたい! そこであなたは、ドライヤーでアイスを溶かすことにしました。 いい例え話とは思えませんが、無理やりこの説明でいくことにします。
ドライヤーとアイスの距離が10センチぐらい近ければすぐにアイスはドロドロに溶けますよね。 ところが3メートルぐらい遠く離れてしまうとアイスはいつまでも溶けません。 これだけ離れるとドライヤーの高熱も「そよ風」に変わってしまいます。
つまり、ドライヤーは遠くなるほど温度が低くなる訳です。
温度の変化を数字でイメージすると、こんな感じ 近い ← 距離 → 遠い ドライヤー:100度 80度 60度 40度 20度
ここが大切なポイントなので覚えておいてください。 このマジックは色んな広告でよく利用されるキーワードなのです。
例えば次のような2種類のドライヤーがあったとします。 まずは。 「100度のハイパワー」 おやっ。なんだか強力そうで、プロ用に聞こえますよね。
では、もう一台のこっちはどうでしょう? 「60度で髪にやさしい」 先ほどとは違って、今度は女性が好きそうな優しいドライヤーのようです。
でも、実はこれ。 2種類のドライヤーはまったく同じドライヤーなんです。
違いは単なる温度のマジック。 もう一度先ほどのイメージを見てみましょう。
近い ← 距離 → 遠い ドライヤー:100度 80度 60度 40度 20度
さあ。 もうおわかりですね。
距離で温度が変わるという事は、測定地点を変えるだけでターゲットが好きそうな温度を用意できてしまうんです。 これが、温度が低く表示されたドライヤーでもヤケドしてしまう原因になっています。
あなたがドライヤーを選ぶときに、温度表示があったとしても情報を鵜呑みしてはいけないのです。 ここでは分かりやすいように距離だけに限定しましたが、距離よりも分かりにくく、ヤケドの原因になりやすい落とし穴があります。 あなたが60度のドライヤーを使ってもヤケドしてしまう2つ目の秘密は、「温度のムラ」です。
「温度のムラ」とは、簡単に説明すると中心と外側の温度差のことです。
フライパンで料理するとき、中心は熱いのですぐに焼けますが、外側の部分はとっても温度が低いですよね。 同じようにドライヤーも中心と外側では、大きな温度差が生まれているのです。
それを明確にしたものが下の温度測定結果ですが、なんと中心と外側には50度もの差が生まれています。
【グラフを挿入】
ドライヤーは通常これだけ中心だけ高温になってしまうのです。
ここまで「距離」と「温度のムラ」について説明しましたが、温度を変える要因は他にもたくさんあります。
時間の長さ 室温 湿度 髪の長さ 髪の濡れ具合 etc….
そうです。 ドライヤーの温度は毎日変化しているものなのです。 水分は常に蒸発することを考えると、厳密にいえば1秒1秒温度は変化していると言えます。
この複雑な温度に、あなたが「どう使っているか?」が関係するので、温度は使用する人次第で1台1台変わってくるのです。
さあ。 いよいよ混乱してきました。
「じゃあいったいどうすればいいの?」
まず、お勧めできないのがいわゆる家電メーカーが作るドライヤーです。 家電のメーカーは機械のプロであって、髪のプロではありません。
一体どうゆうことでしょうか? 私自身も開発に呼ばれるのでよく分かるのですが、これは、ドライヤーの製造過程を見ていくことで理由がよくわかります。
仮にAさんが家電メーカーの企画スタッフとしましょう。 Aさんはある日、上司からの新商品のドライヤーを作るように言われました。 コンセプトは「髪にやさしいドライヤー」。
髪を乾かすだけでなく、髪に負担の少ない商品を作るとのことです。
Aさんは機械に強いのですが、髪についてはまったくの素人。 そこで、まずは専門家から話を聞くことにしました。
こんな時に呼ばれるのは、ほとんどの場合、美容師さんか毛髪診断士の方です。
機械プロのAさんは、髪のプロからあれこれ話を聞きますが相手が何を言っているのかさっぱり分かりません。 フランス語と日本語で会議しているようです。 それもそのはず、まったく違う世界で生きてきたのですから。 何度会議してもお互いの話がまったく理解できないのです。
さあ、困りました。 Aさんには締め切りもあるので急いでいます。 仕方ないので、話が分かったことにして企画書をまとめます。
期限には間に合いましたが、残念なことに上司からは「売れない理由」をアレコレ並べられて修正を求められます。 修正してはまた修正。 何度も繰り返してようやく企画書がとおりました。
さあ。次は製造段階です。 ようやく商品が形になっていくと、今度は製造の担当から修正を求められます。 なんでも今のままでは組み立てにくいから「形を変える」らしいのです。 全体の構造をもう一度見直して修正すると、今度はデザイン担当が「スマートにしたい」から元に戻すよう求めます。 海外の工場からはパーツが足りないので、モーターを変更するとの連絡。 色んな部署が違う意見なのでAさんはヘトヘト。 そうこうしている間に会社が独自イオンを新開発。 開発中の全商品に取り付けるよう伝達がありました。 さあ。振りだしに逆戻りです。 たくさんの修正を繰り返して1年が過ぎた頃にようやくドライヤーが完成。 Aさんは第1号の商品を手にして涙目です。 苦労して作ったドライヤーを手にしたAさんはふと考えます。
「あれ?そもそもドライヤーのコンセプトは何だっけ?」
笑い話のようですが、これが現実。
このように、家電メーカーはあくまで機械のプロで、髪についてはまったく素人なのです。 ですから、「髪にやさしい」という基準でドライヤーを選ぶなら髪の専門家であるメーカーを選ぶべきです。 ○○監修といった表面的なことではなく、会社自体がヘアケア企業であることが重要です。
実際に研究室に入ってみると分かりますが、あなたがドライヤーを使う環境と研究室では温度がまったく異なります。 室温が違うのはもちろん、あなたがドライヤーをどのぐらいの距離で使っているかを熟知していないと温度を測定することはできません。 なので、ユーザーの声が多く入る「直販」の方が理想です。 徹底的にユーザーの使用環境を研究しないと、適正温度は見えないのです。
その他、ドライヤーの「機能」について大切なのは2つ。
1つ目は「スイッチ類」。 最近のドライヤーには色んな切り替えスイッチがついてますよね。
風量が調整できたり、温度が変えれたり。 あなたが好きなように風をコントロールできるものも増えてきました。 さあ。 ここまでドライヤー選びを見てくればお分かりでしょう。
温度が調整できるということは、「温度の管理は素人のあなたにゆだねられている」ということなのです。 好きな温度にできるから確かにスタイリングはしやすいのですが、髪のヤケドの大きな原因となります。
そのため、スイッチは最小限であることが大切。
多くの方が機能が多いほど高機能であると考えているのでここは大切なポイントです。 例えば「ターボモード」という機能がよく見られますが、あれは一番髪に負担となってしまうモードです。 髪にやさしいドライヤーを選ぶときはスイッチが最小限であることが大切です。
次に、ドライヤー選びの際に必ずでてくる「○○イオン」という謎の物質はどうでしょうか? これは以前から問題にされているものです。
大手でも独自のイオンを開発していますが、イオン自体の効果については賛否両論です。 消費者庁も、イオンについては疑問をもっているようで規制を強化しています。
さて。 このイオンは効果的なのか?
あらゆるドライヤーを使い倒した私の見解として、イオンとは確かに髪の手触りが違います。 イオンが放出された方が、そうでないものよりも髪質感のアップを実感できるから私も好んで使います。
ただし、あくまで感覚程度の話。 2人を並べてどちらがイオンかと聞かれても違いはまず分かりません。 「感覚」程度であって、それ以下でも以上でもないのです。
私はこれまでに世界で1000台以上のドライヤーを使ってきたと言いましたが、世界を見てきて痛感するのは「日本のドライヤーがあまりに遅れている」ということです。 日本の技術は世界でトップレベルと思われているかもしれませんが、ドライヤーはとにかく遅れています。 理由は簡単。 世界が1度でも低い温度で使えるドライヤーを目指している間に、一体日本は何をおこなっていたか? 正体不明の「イオン」の研究です。 日本ではなぜかイオンドライヤーが売れに売れていたので、日本のメーカーは温度ではなくイオンを最優先に研究してきました。 世界から見ると日本の光景は異様にうつります。 「なぜ、あんな架空の空気に高いお金を払うんだろう?」 そのぐらい日本はイオンに洗脳されてきたのです。
確かにイオンは髪がサラサラになりそうな気がしますが、それより断然大切なのが髪のヤケドです。 あなたの髪は100万個のイオンよりも、温度をたった1度下げた方が断然喜んでいます。。
そのぐらい髪のヤケドというのは大きなダメージといえるのです。
さあ。 ここまでの話であなたはプロと同じレベルでドライヤーを選ぶことができるようになりました。
もうドライヤー売り場でアレコレ悩むことはないでしょう。 ドライヤーとして本当に必要な機能は何か? 何が真実で何が嘘か?
全てあなたの頭に入っています。 ドライヤー選びに関してはここまでなので、ここから先は興味がある方だけがご覧いただければ結構です。
ここから先は実践として、ヘアモデルのドライヤー活用術をお伝えしていきます。 髪にやさしいドライヤーの使い方やドライヤーをヘアケアツールに変えるテクニックをお伝えしていきます。
ヘアモデルのドライヤー活用術 第三章 ドライヤーをヘアケアツールに!!
1 髪の速乾テクニック
ここからは、ヘアモデルのドライヤーテクニックをお話ししていきます。 これはヘアモデル用のヘアケアプログラムでも実際にお伝えしている技術なので、とって も効果的ですよ。
最初に、「髪を2倍速く乾かす方法」についてお話ししておきましょう。 この言葉だけ聞くと単なる「時短テクニック」のように聞こえますが、髪を2倍速く乾か すことは、「熱」と「摩擦」によるダメージを半分にすることにつながります。
早く乾かすためにまず大切なのが、ドライヤー前の「タオルドライ」でしっかりと水分を 拭き取っておくこと。 こうしておくことでドライヤーの時間が短縮できるので、髪がダメージを受けにくいので すが、注意しなくてはいけないのが摩擦です。 濡れた髪は弱くなっているので、ゴシゴシ拭いてしまうとキューティクルがボロボロにな ってしまいます。 そのため、タオルドライは優しくおこなうようにしてください。
タオルは一度湿ったら水分を吸収する力が弱くなるので、大きなバスタオル1枚よりも小 さなハンドタオル2枚の方が、断然乾きが早くなります。 そのため、1枚目のタオルである程度水分を取ってあげて、2枚目のタオルで水分を取り 直すようにしましょう。 もちろん2枚より3枚の方が早く乾きますよ。
この他にも、タオルドライにはドライヤーも併用した速乾のテクニックがあります。 濡れた髪にタオルを巻き、タオルの上からドライヤーを当てる。 こうすることでタオルの中がカラッとしたサウナのような状態になり、水分がタオルに向 かって吸い込まれていきます。 タオルに吸い込まれた水分はドライヤーの熱で飛ばされるので、みるみる髪の毛が乾燥し ていくのです。
ここまでタオルドライによる速乾のテクニックをお話ししましたが、この他にも、髪に負 担をかけにくい速乾テクニックとして、「Wドライヤー」というものがあります。 Wドライヤーといっても、別に2個のドライヤーを使う訳ではありません。 いつものドライヤーを2回に分けて使うだけの簡単テクニックです。
具体的な方法をお話しします。 まずいつものようにドライヤーをかけますが、1回目は軽くドライヤーをかけるだけにし てください。 髪の水分を少し飛ばして、髪が温かくなるくらいですね。 そしてドライヤーをいったん置いて、スキンケアやメイクなどをおこないます。 ハミガキでも何でもいいですよ。 そうして時間がたったら、2回目のドライヤーで髪のまだ乾いていない部分を乾かします。
つまり、いつものようにドライヤーを一度でおわらせるのではなく、2回に分けて使うと ころがWな訳です。 3回のトリプルでもOK。 ドライヤーの前後って、美しくなるためにできることは、たくさんありますよね。 これを2回のドライヤーの間に持ってくるだけで、ドライヤーを使う時間は大幅に短縮で きるのです。 また、こうして夜のドライヤーで受けるダメージを少なくすると、翌朝スタイリングがま とまりやすくなります。
2 ドライヤーで髪をケア
髪の速乾テクニックがお分かりいただけたところで、次はドライヤーの熱を利用して髪を ケアしてしまう裏技をお話ししていきましょう。
実は、髪の「通常の温度」と「ヤケドする温度」の間には、ヘアケアポイントとなる温度 が存在しています。 具体的にお話しすると、あなたの髪は気温とほぼ同じ温度を保っています。 気温が20度だとすると、髪も同じくらいの20度となっているため通常はキューティク ルが閉じた状態になっていますが、この温度がアップして30~60度になると少しずつ キューティクルが開き始めます。 この温度でキューティクルの隙間が広くなると、髪は「ダメージを受けやすい状態」にな りますが、同時にこれは「トリートメントやヘアエッセンスが浸透しやすい状態」でもあ るのです。 つまり、髪の毛は30~60度になると、ケアにとって最適の温度になる訳です。 そのため、ヤケドの一歩手前の30~60度になるまで髪を温め、キューティクルを開い てあげれば、トリートメントやヘアエッセンスが入り込みやすくなります。 そして髪の温度が冷えてくると、キューティクルが閉じてフタとなり、栄養が内部にしっ かり閉じ込められます。 ところが、これが70度を超える温度になると、話は違ってきます。 おさらいになりますが、髪は70度を超えると“突然変異”を起こし、一瞬にして固まっ てしまいます。
温度が上がるにつれてゆっくり開いていったキューティクルが、70度になった途端、開 いたまま固くなって閉じなくなってしまうのです。 この温度になって一度固まってしまった髪は、よほどのケアをしない限り元には戻りませ んし、キューティクルが開いたままでダメージを受けやすい状態になってしまいます。 そのため、髪をケアするテクニックにドライヤーの熱を利用する時も髪が健康な方で70 度、すでにクセやダメージをお持ちの方で60度を超えないよう、注意してくださいね。
ドライヤーの熱を利用したヘアケアテクニックは他にもあります。 シャンプーした後にトリートメントを髪全体にまんべんなく広げたら、そのままヘアタオ ルをつけてください。 そして、タオル全体に直接、ドライヤーを1分ほど当てる。 タオルを使うというのは先ほどの速乾のテクニックと同じ方法ですが、タオルはトリート メントを浸透しやすくさせることにも使えるのです。
この方法が効果的なのは、元々トリートメントが髪に浸透するのに、「水分」が邪魔になっ ているからです。 実は、トリートメントは水が嫌いな性質を持っているので、髪に水分があるとなかなか芯 まで浸透できません。 この熱を活用したトリートメント術なら、ヘアタオルが髪についている水と浴室の蒸気を 吸い取ってくれるのでトリートメントの浸透力がアップします。 さらに、タオルの上からドライヤーの熱を与えることで髪表面の水がより少なくなって浸 サラサラ ケアに最適 ヤケド 70 度以上 30 度~60 度 30 度以下
透力が格段にアップするのです。 ちなみにドライヤーは浴室で使用すると感電する危険性がとっても高いので、浴室内でド ライヤーは絶対に使わないようにしてくださいね。
さあ、これであなたはドライヤーを使ったトリートメントテクニックまでもマスターして しまいました。 正しいドライヤー術を身につければ、あなたの髪は驚くほど美しく輝くようになります。